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HAKKIN Museum - 02 Olympic flame

Olympic

ハクキンの技術は
オリンピックにも
貢献していた

Hakkin's technology
contributed to the Olympics.

ハクキンの技術で
聖火輸送をサポート

オリンピックにハクキンカイロが聖火輸送という形で貢献していたのをご存知ですか?ハクキンカイロと聖火の関係は、1964年 第18回東京オリンピックに始まります。この時は「聖火のトーチが消えた」場合に備えての予備用として裏方で参加したのです。

ハクキンの技術で聖火輸送をサポート

当時のエピソードが東京五輪聖火リレー最終ランナー 坂井義則さんとハクキンカイロ社長 的場恒夫の対談の中で語られています。この対談は1985年ユニバーシアード神戸大会で聖火を空輸し、パラシュートで投下するという大役をハクキンカイロが果たした後に行われたものです。当時の対談の一部を紹介します。

東京五輪聖火リレー
最終ランナー
坂井義則さん
ハクキンカイロ社長 的場恒夫
の対談

的場

東京オリンピックではハクキンカイロが聖火のスペアとして使われました。聖火は昭和39年8月21日ギリシャのオリンピアをスタート、12カ国2万キロの空輸を経て日本へ到着しました。機内の中央部に聖火の輸送装置が設けられ、ここに念のため3つの聖火灯に納められた聖火が置かれていたのです。しかし、その聖火灯は上下動に弱いといわれ、エアポケットに入って大きく揺れれば消える危険もあったのです。そこで火の持続に強いカイロが予備として採用され、空のお供をしたというわけなんです。(透明な容器の中に写っている黒い四角いものがカイロです。)

聖火のスペアとして使われたハクキンカイロ

ー 飛行中、ノースモーキングの時間がありますが、その点は心配なかったのですか? ー

的場

それはありませんでした。これは少し専門的になりますが、触媒反応を利用したカイロなんです。火を起こせる熱量を持ちながらガソリン等の引火性の強い油が接触しても引火せず、逆に消えてしまうのです。火であって火でないとでもいいましょうか。
カイロはベンジンが直接燃えて熱を出すように思われていますが、それでは危険です。触媒によりベンジンが酸化反応する時の熱を利用しているので安全なのです。

坂井

カイロは体を暖めるためのものと思っていましたが、おもしろい応用ができるもんですねえ。

的場

戦時中は航空機のエンジンを暖めるパーツのひとつとして使われていたことがあります。厳冬になるとエンジンが凍ってプロペラが始動しなくなるため、保温用に特性大型カイロの注文がきたのです。エンジンの附近は火気厳禁ですが、ハクキンカイロは安全だということで高い評価を得ました。また、南極観測船の常備品にもなっていました。

坂井

空路輸送は経験があったということですが、ユニバーシアードでは聖火をパラシュートで投下するのですから技術的に開発しなければならない点も多かったのでしょう。

的場

聖火を乗せた飛行船の移動距離は埼玉から神戸まで約700キロと割合短かったのですが、パラシュートで80メートルの上空からグランドへ落下させるのは初めてのことですから。もともとカイロは人間にとって適温を長時間保てるよう設計されています。しかし聖火の場合は持続時間は短くてもよいが、火力をあげて絶対に消えないようにすることが条件です。
しかも、いろいろな物理的要件が加わります。パラシュートで落下する時間はわずか30秒で、まさにストーンという感じで落ちることになる。強度がないと壊れます。
また、時期的に夕立も多く風への備えも必要です。強い風雨だとどんな変化が起こるかも。とくに地上に落ちてからトーチに移す時間が問題です。 まともに雨をかぶったら?夏休みを返上して重さ、形状、構造や防風雨対策など細部にわたって徹底研究しましたね。結局、触媒の面積を大きくして火力を高め、容器の上に特製の屋根をつくって雨に備えました。

いろいろ苦労のかいあって、聖火は無事運ばれ若さと情熱を象徴する炎が赤々と夜空に輝いたそうです。

ハクキンの貢献と触媒技術の向上

そんな裏方の実績が評価され、表舞台の貢献となったのが1998年第18回長野冬季オリンピックです。しかも、その時はスペアを準備することなく、ハクキンカイロだけで聖火が日本に運ばれたのです。

聖火が到着した後、国内の聖火リレーでは、聖火が消えるというハプニングが続出しましたが、その時にはいつもハクキンカイロの種火が移されました。そして、人々の思いをのせた聖火は、無事開会式会場まで運ばれ、最終ランナーの伊藤みどりさんが聖火台に火をかざし、あかるい空をバックにして、さらに赤々とまぶしく燃え上がったのです。

ハクキンカイロは、白金属触媒作用による酸化発熱原理を発熱器に利用したもので、当社独自の方法でガラス繊維に白金(プラチナ)を微粒子の状態で坦持させた火口に、ベンジンの気化ガスが接触することによって触媒反応の発熱が起きるのです。しかも300~400度という比較的低温で安定した触媒燃焼をするため、炎が発生せず熱の状態で保たれます。

長野オリンピックで使われたカイロは、30時間持続タイプの輸出用を改良し、48時間持続を可能にするため、容器表面の穴を一部塞ぐことで酸素供給量を制御し持続時間を調整しました。今回は更に念には念を入れ、低温室・高温室で何回も性能の確認を行いました。

しかし、低温で再び炎の状態に戻すという難問がありましたが、酸素を強制的に送り込み燃焼を活発にさせることで炎の状態にする方法を考案、酸素を吹き込むためのノズルを装着し、酸素ボンベからチューブを用いて酸素を送り込むこととで解決したのです。

東京オリンピックをはじめ、ユニバーシアード大会、長野オリンピックと聖火を輸送する大役を無事果たせたことに感動を覚えるとともに、ハクキンの技術が貢献できたことはとても得がたい経験でした。

※長野オリンピックでの聖火は、ハクキンカイロを使用し航空機で運ばれました。
航空機による聖火等の輸送に際しては「国土交通大臣の許可」が必要であり、ハクキンカイロを使用すれば無許可で輸送できる訳ではありません。民間の航空機の機内には点火されているカイロはもちろん、点火されていなくても、一度でも使用されたカイロは持ち込むことはできません。また、燃料のベンジンも持ち込みを禁止されておりますのでご注意下さい。

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